【遊戯王】ゾーク・ネクロファデスの名前の由来

新年早々何ですが,ゾーク・ネクロファデスの名前の由来が気になっていたので,調べてみました。

「ネクロファデス」の部分は「ネクロ(死)」とか「ハデス(ギリシャ神話の冥界の王)」っぽいから,そこらへんなんだろうなと思ったけど,「ゾーク」が謎。

作中に「闇のゲーム」とよく出てくるけど,闇は「ダーク」だし,大魔王的存在に対する「ゾーク」という命名は他作品でも見たことがあるので,何か元ネタがありそうではあります。

 

というところから早速ググる

 

【検索1】

遊戯王カードWiki - 《闇の支配者−ゾーク》

古典的なテキストアドベンチャーゲーム「Zork」シリーズが元ネタと推測される。Zorkにはグルー(grue)という闇に潜む正体不明の怪物が登場し、Zork世界の冒険者は闇に踏み入ると即座に食われゲームオーバーとなる。そのため、このゲームを支配するのはプレイヤーが最も恐れる「闇」となっており、グルーはZorkの象徴ともなっている。 

なるほど!!闇にプレイヤーを食らう魔物が潜んでいるなんて闇のゲームそのものだね!

で,その「Zork」とはどんな意味があるのかい?

 

【検索2】

ゾーク - Wikipedia

“Zork”という単語(ないし綴り)は元々は、未完成のプログラムに対し使われる名前として、マサチューセッツ工科大学ハッカー文化圏に由来する。

Zorkの作者はMIT(マサチューセッツ工科大学)の学生グループなんだって。 

うーん,で,その「Zork」はどこから来た言葉なのかな?

 

【検索3】

Post Position » A Note on the Word “Zork”

この記事を書いたNickさんという方も「zork」という語のそもそもの由来が気になったようで,めっちゃ語源について調べてくれてます。

以下,特に断りがない場合は全部Nick氏による調査結果および仮説です。

要約なので詳細は上記の元記事をご覧くださいませ。

 

語源候補1:意味なんてない説(by Zork作者)

・当時のMITではインストールの準備が整う前のプログラムをzorkと呼ぶことが多かった

・Zorkの最初のバージョンは発表されなかったので,ちゃんとした名前をつけなかった

 

語源候補2:「Zorch」がなまった説

・「zork」は「全滅,全壊」を意味する別のスラング「zorch」から派生した言葉で通常は動詞として使う(by Zork作者)

・昔のコンピュータ辞書に「zorch」は,「scorch(焦がす)」の派生語の一つとして,熱によってコンピュータにダメージを与えてしまうという意味で載っていた

・「torch(たいまつ,溶接ランプ)」も連想させるし,火を使うことっぽい

 

語源候補3:教科書に載っていた説

・昔の心理学の教科書に,医療モデルの対照として意味のない「ゾークモデル」が出てくる

・昔の定量分析の教科書に架空の地名として「ゾーク」が出てくる

・現在のMITに心理学部はないけど,1960〜1985年には脳・認知科学は心理学と呼ばれていた(のでMITにいたZork作者が心理学の教科書を目にした可能性がある)

 

語源候補4:タイプライター規格の違いによるタイプミス

・「Z」と「W」のキー配置が英国式タイプライターとベルギー式タイプライターで逆なので,英国式を使う人がベルギー式で「WORK」をブラインドタイピングすると「ZORK」になってしまう(逆もまたしかり)

・その話を知人に聞いて「zork」を本のタイトルに入れた人がいる(この本を通じて「zork」という語がMITに持ち込まれた説がある)

 

語源候補5:SF小説の登場人物説

・↑の「zork」を本のタイトルに入れた人が別の作家と共著で本を出した際の,別の作家が書いた方の小説の主要登場人物の名前が「Zork Arrgh」。

 

そして記事は「色々調べたけど,これだ!っていうものはないし,謎は永遠に謎のままかも…」と終わったように見せかけてのコメント欄に作者本人降臨!

I confess to being the one who named the game “Zork”; as has been mentioned elsewhere, the term was used as an exclamation during my days at MIT LCS, and it seemed as good as anything else for a name – at least until a better one was found. I’m still waiting.

 私はあのゲームに「Zork」と命名した一人です。他のところで言われている通り,この言葉は私がMITコンピュータ科学研究所にいた頃に感嘆詞として使われていて,名前としてすごく良く思えたのです。少なくとも,より良い名前が見つかるまでは。私はまだ待っていますよ。

 

というわけで謎は解けたー!(?)

たぶん「scorch(焦がす)」→「zorch(熱によるコンピュータへのダメージ)」→「zorch(全滅,全壊)」→「zork(全滅,全壊)」→「zork(インストール準備完了前のプログラムの仮称)」→「Zork(ゲームの名前)」→「Zork(大邪神)」かな?

意味のない名前って空っぽだから逆に闇の存在にぴったりな気がします。

リリース前の闇に眠っているプログラムの呼び名だったり,「焦がす」とか「全滅,全壊」っていう破壊的な意味の言葉から来ているっていうのもいい感じ。

それに,あくまで仮称であって真の名前がわからないっていうのもロマン。

 

ちなみにゲームの「Zork」に出てくる怪物グルーはプレイヤーの行動範囲を制限するための存在で,もともとは落とし穴がその役割を担っていたそうです。ただそれだと屋根裏部屋とか有り得ないところにも落とし穴があることになって,それはおかしいということでグルーが登場することになったのだそうです。

グルー - Wikipedia

へーへーへー。面白いですね。

 

「Zork」はiPhoneアプリでも遊べるみたいです。

Lost Treasures of Infocom

Lost Treasures of Infocom

そんなわけで今年もよろしくお願いします。

 

========== 2017/5/22追記 ==========

作者本人コメントの「他のところで言われている通り〜」や,語源候補1(意味なんてない説),語源候補2(「Zorch」がなまった説)のソースはソフトウェア会社のニュースレターである"New Zork Times"にZork開発者本人が執筆したZork開発史“The History of Zork”のことで,すべてネットで読めます!超クリアなPDFで!すんごい時代〜。

archive.org

和訳してくれた神もいます!↓ ありがたや〜。

第一章 — KtJ Dragon

 

ちなみにNickさんの記事にコメントつけたのは作者の一人であるマーク・ブランク氏,開発史を書いたのは別の作者の一人であるティム・アンダーソン氏です。

 

興味のある方は元の「New Zork Times」も見てみるとよいかも。自分はさらっと見ただけですが,巨大熊ぬいぐるみを抱えたパジャマ姿の幼女ジェニファー(実写)によるカスタマーサポートコーナーとかあって面白かったです。アメリカ人ってすごい。